「み」から始まる冒険者

元「トリックスターのプレイ記」。現在は主に自作漫画の進捗報告記。Comicoに「ひみつのなぎさ」を投稿中!

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(c)未羊

2015.10.27 「ひみつのなぎさ」第5話投稿
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せらism☆第1話その3

前回までのあらすじ

女の子になった秀は、モデル事務所社長宝木麗に出会う。
そこでモデルになってみないと誘われた秀は二つ返事でOKをしたのであった。
その後の事など考えもせずに…。

 
 
「う~ん、ああは言ったものの、この姿を親にどう説明したらいいんだろう…」
秀は歩きながら考えていた。
それもそのはず、息子が女の子になったなんて親だろうと信じられるわけがない。
でも、それでも自分の家に帰らずにはいられなかった…。

『うぅぅ、この格好って歩きにくいなぁ…』
慣れないスカートとミュールに苦戦しながら、そして周りからの視線に耐えつつ
なんとか家までたどり着いた秀だった。

『ここからが問題…だな。』
家までたどり着いたものの、大した事も結局思いつかなかった。
『ん~、どうやって切り出したらいいんだろう…』
しばらく家の前を右往左往していたら、突然ドアが開いた。
「さっきから家の前で何やってるの!」
「うわっ!」
さすがに怪しかったのか、家の中から母さんが飛び出してきた。
「…、た、ただいま(にこっ」
ついぽろっと言った言葉に困惑する母さん。
「し、秀?まさか秀なの?」
まさかの言葉に首を縦に振るボク。姿が女の子なだけに納得のいかない顔なのは明らかだけど
そこはさすがに親なのか、何かしら僕の雰囲気を感じたらしい。
「…、目の前に居るのは女の子なのに、なぜかしら秀が目の前に居る気がするわ。」
「か、母さん…。僕だって分かるの?」
「まぁ母親だからね、姿が違っても子どもの事くらいは…ね。
 ここで立ち話もなんだから中に入りなさい。」
「はい。」
…正直、ボクはこんなにすんなり家に入れるとは思ってなかった。
それもそのはず、見ず知らずの人を子どもだろうと簡単に家に入れるような
そんなご時世ではなくなっていたのだから…。

家の中に戻った僕は、ここまであった事を洗いざらい母さんに話した。
「…。なるほど、血を見たら苦しくなって気がついたら女の子に…ね。」
「うん、信じてもらえるかどうか分からないけど、それが多分原因だと思う。」
困惑してるボクに母さんが言葉をかけた。
「だったら、同じ状況をもう1回作ればいいんじゃないの?
 さすがに家で流血とかそんな物騒な事は出来ないけどね。」
これを聞いた時は、さすがになるほどと思った。確かにその通りだ。
原因をもう1度起こす事で、再現が取れる可能は確かに高い。
「これでなんとかなるんじゃないかしらね。まさかこんな時期にホラー映画とか
 まったくもって考えたくもないわ。
 …、それじゃ流すわよ?」
そう言うと、母さんは某ホラー映画を流し始めた。途中の流血シーンにさしかかった時…
「うっ…」

  …、ドクン、ドクンッ!

『うっ、またあの感覚だ…。…?あ…の感覚?』
心配する母さんの声も聞こえなくなるくらいの急激な苦しさに襲われた。
「う、うわぁぁぁぁっ!」
「だ、大丈夫?秀!」

「…う、大丈夫?」
「ん…?」
叫び声をあげた僕はしばらく気を失ったらしい。
「よかった、目が覚めたのね、秀。」
「母さ…ん…」
「驚いたけど、やっぱり秀だったのね。」
「母さん、僕…」
「こういう事で簡単に子どもを嫌いになる親なんて居ないわ。
 例え女の子になってもあなたは私の子どもよ。
 とりあえず、お風呂入って着替えなさい。」
「うん。」
なんだか簡単に納得してもらえて、すごく悩んだのが何だったのかと思えるくらいだった。
でも、自分自身でよく分からないのは突然発露した『血を見て変身』という能力だ。
まぁ、深く考えても答えは出そうにないので、とりあえず考えずにいよう。
それよりもいかに途中で変化する事故を回避するかの方が重要だろうし。

「お待たせ。」
お風呂からあがって着替えた僕は食堂に顔を出した。
「出てきたのね、ご飯できてるわよ。」
食堂でご飯をしながら残りの話をした。
「モデルねぇ。」
女の子のボクがモデルにならないかと誘われた事に少々驚いていたが、
「秀がやってみたいのなら、やってみたらいいんじゃないの?
 母さんは別に反対しないわよ?」
「え?」
反対するどころか意外にあっさりした答えが返ってきた。
確かに体質的な事もあるけれど、気をつければいけるだろうと簡単に許可が下りた。
「母さんがそう言うなら、僕はやってみたいと思う。実際OKまでしちゃってるし。」
「そうね。それで、秀。女の時の名前だけど…
 実は、女の子が生まれたらつけようと思ってた名前があるのよ。それでいいかしら。」
その時の母さんの顔は、いつになく真剣で…悲しそうな顔だった。
「…、『せら』。これがつけたかった名前。
 秀には姉か妹が居る予定だったんだけど、流産しちゃってね。使われなかった名前なの。
 秀、この名前大事にしてね。」
「…、うん分かった、大事にする。」
こうして僕は、親からもモデルの仕事の了承を得る事が出来た。
これからたくさんの事が待ち受けているとは想像はできなかったけど、
すごくわくわくした気持ちで1日を終えたのだった。


   第1話「せら、登場☆」・完

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