「み」から始まる冒険者

元「トリックスターのプレイ記」。現在は主に自作漫画の進捗報告記。Comicoに「ひみつのなぎさ」を投稿中!

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(c)未羊

2015.10.27 「ひみつのなぎさ」第5話投稿
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せらism☆第8話「歌手デビュー?☆」その2

前回までのあらすじ

 新しく友だちになった千尋を連れてあきらの家に来たせら。
 話をしていると社長から突然電話がかかってきた。
 「えっ?ボクが歌手デビューですか?」

 
 
その日興奮で眠れなかったボクだったが、有名なプロデューサーに会えるという事で失礼のないようにと気合を入れてきた。
『うん、失敗なんて許されないよね。第一印象って大事だもん。』
SERAとしていつものように事務所にやってきたボク。なんとなく体が緊張で震える。
「おはようございます。」
いつものように事務所のドアを開ける。そこには、社長と見知らぬ男性が立っていた。
「SERA、おはよう。」
社長があいさつをし、そして続けた。
「こちらが昨日話した音楽プロデューサーの『若林』さんよ。
 偶然通りかかってあなたの歌を聞いたみたいね。」
「はじめまして、『若林 照彦(わかばやし てるひこ)』です。君が『SERA』ちゃんだね。」
「は、はい!」
大物プロデューサーから声を掛けられて、声が上ずっているのがよく分かる。
名前だけは聞いた事はあったけど、渋い感じのおじさんで何とも貫禄が感じられる。
「ふむ、以前は遠くから見たのでよく分からなかったが…。
 なるほど間近で見ると不思議な魅力があるのがよく分かる。」
若林さんはじろじろとボクを見まわしていた。
「若林さん、あまり見てると誤解されますよ?」
「おっと、すまなかった。あの声の持ち主がどんな体格なのか見てみたかったからね。
 気を悪くしたのだったら素直に謝ろう。」
社長の言葉に我に返ったかのように反応した。少し気持ち悪く感じてしまったのは気のせいだろうか。
「しかし、モデルという事もあって華奢な体つきだね。
 それでいてあの声量と透明感。今までボイストレーニングとかした事あるのかな?」
「いえ、友だちとカラオケボックスへ行って歌ったくらいですね。
 音楽の先生からもボクの歌は結構褒められてはいましたけど…」
「SERAって、歌が上手なの?それは聞いてみたかったわねぇ…」
歌を聞いた事のない社長が残念そうな顔をしていた。
「折角ですし、ボク、歌ってみますね。あの時の歌ですけど。」
窓を閉め切った状態でボクは歌い出した。

1曲歌いきると社長はすごく驚いた表情をしていた。
「驚いたわね、SERAは実は歌手向きなんじゃないの?」
「宝木さん、歌手であってもモデルとしてもやっていけますよ。
 二足のわらじは大変でしょうけど彼女ならいけると思います。
 無理に1つに絞るよりは、たくさん経験させてみるのもいいと思います。」
若林さんの言葉に考え込む社長。ボクとしては歌がいいというのなら、歌手もやってみたいかなと思い始めていた。社長がボクの方を見る。明らかにボクの意思をくもうとしている。
「…、SERAがやりたいと言うのなら止めはしないわ。私としては、
 下手にさせてSERAが潰れる事が一番怖い。事務所としても大事なモデルだからね。」
社長の気持ちもよく分かる。でも、ボクの正直な気持ちは…。
「社長、ボクは歌手もやってみます。もちろん、モデルとしても頑張ります。
 若林さんみたいな方にいいと言われてみたら、どこまで通用するか試してみたいんです。」
社長は、ボクの言葉にしばらく考え込んだ後、口を開いた。
「そこまでの決意があるのならやってみなさい。
 でも、ダメだと思ったらそこですっぱり諦める事、いいわね?」
「はい!」
ボクの固い決意にほぼ即決状態で歌手を始める事になった。

「それでは、デビュー曲は私が担当させていただきますが、
 所属事務所はこちらという事にさせていただいてよろしいですかな?
 無理にとは言いませんが、その方がSERAちゃんのためにもなると思いますし、いかがでしょう?」
「そうですね、私としてはこの子をよそに預ける気にもなりませんし、その方がいいでしょう。
 それでいいわね、SERA?」
「はい、ボクは社長以外のところへ行くつもりはありません。」
「嬉しい事を言ってくれるじゃないの。それじゃ早速契約書でも書きましょうか。」
「そうですね。」
結局、事務所から一歩も出る事なく、事はまとまったのであった。
こうしてボクは、モデル『SERA』だけではなく、歌手『SERA』としても活動する事となった。
意外にもボクの心の中は、多少の不安もあるものの、それ以上のわくわく感が占めていた。
だがしかし、これがあれほどの苦難の道のりの序曲になろうとは、この時誰も思っていなかったのであった…。


  ―――第9話に続く

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