「み」から始まる冒険者

元「トリックスターのプレイ記」。現在は主に自作漫画の進捗報告記。Comicoに「ひみつのなぎさ」を投稿中!

お知らせ
現在、comicoにてベストチャレンジとして「ひみつのなぎさ」を投稿中
(c)未羊

2015.10.27 「ひみつのなぎさ」第5話投稿
comicoノベル投稿一覧→ノベル投稿

せらism☆第9話「予兆☆」その1

前回までのあらすじ

 大物プロデューサーに歌を聞かれていた事で、歌手にならないかと誘われたせら。
 驚きもあったせらだったが、その誘いを快諾して歌手としてもスタートを切る。
 これをきっかけに、せらを取り巻く環境が徐々に変化を始めたのだった…

 
 
歌手デビューが決まったボクには、それからというものボイストレーニングが始まったのだった。
そもそもの持ち味を壊さないように、それでいてさらに高めるように気づかいながらではあったけど、ボクは必死について行った。
ボクの夏休みは今までにはないくらいの忙しさになったけど、今までにない充実感を感じていた。

――とある日の撮影所
撮影前にあきらと一緒に控室でくつろいでた。
「ねぇ、せら。歌手の話は結局受けたの?」
「うん、最近はトレーニングしてるよ。モデルが本業だけど、そっちも結構楽しいよ。
 で、今は若林さんの曲待ちの状態かな。」
「ふ~ん、あの歌唱力がさらに強力になるのかぁ、それはそれで楽しみね。
 でも、カバーとかじゃなくてオリジナルでのデビューなのね。」
「うん、やっぱりこれだけの逸材だから自分で勝負した方がいいだろうって。」
「なるほどね。確かにその方がいいわね。」
結局、撮影までの待ち時間はほぼボクの歌手デビューの話題で持ちきりだった。

「それではそろそろ撮影始めますよ~。」
スタッフの人がボクたちを呼びに来た。とりあえず今日のところは撮影に集中しよう。
今回の撮影は『としごろの服特秋』という事で、秋から冬にかけての服装での特集だ。まだ夏休み真っ盛りだというのに長袖とか暑苦しい気もするけど、仕事だし仕方ないよね。
この仕事を選んだのは間違いなくボクだ。まだ始めたばかりだし、できる事をやって、どんどん学んでいくしかない。せっかくあきらちゃんという先輩も居る事だし、彼女からでも学べる物はどんどん吸収していこう。
でも、ある意味ボクは運がいいと思う。周りの人たちも優しくて気遣ってくれている。でも、その優しさに甘えていちゃいけないなと思う。

「今日も2人ともいい感じだったわよ。息のあったコンビって感じ。
 これほどまでにリテイクなしとは頭が下がるわ。」
「ありがとうございます!」
出版社の担当の人にも褒めてもらえるほど、ボクたち2人の息は合っているらしい。ボクたちが一緒に活動を始めてから約3ヶ月。その間色々あったけど、やっぱりボクが今こうしてられるのはあきらちゃんのおかげだと思う。
正直あきらちゃんは先輩として尊敬できるし、あの事もみんなには黙ってくれているのでとても感謝している。まだまだ彼女には敵わないなって思う。
「それじゃ、もう撮る分は全部終わったのでこれで終わりにしましょうか。
 2人ともお疲れさま。よかったら送っていきましょうか?」
出版社の人から声がかかったものの、ボクたちは同じ返答をした。
「今日は送ってもらう人が居ますので、ご好意はありがたいですが遠慮させていただきます。」
「そう、それじゃ気をつけて帰ってね。」
「はい、お疲れさまでした。」

ボクたちは挨拶を済ませた後、出版社の玄関先に出た。
「それじゃせら、あたしはこっちだからまた今度会いましょう。」
「うん。あきらちゃんまたねー。」
「またね。」
ボクはあきらちゃんと別れて社長の車に乗って出版社を後にした。まさかあの後に色々起きてるなんて知らずに…。

「さて、あたしはちょっと歩きますか。気になるのが居るし…」
あきらはせらとは逆の門から出ていく。そこから少し歩き、人気のない場所まで移動したところで急に立ち止まった。
「さて、そこのあなた。こそこそしてないで出てきたらどうかしら?」
あきらがそう言うと、物陰から男性が出てきた。
「私に気が付いていたとは、さすがですね。ちなみにいつから気が付いてましたか?」
「ふん、舐めてもらっちゃ困るわね。しっかり出版社に入る時には気がついてたわよ。
 しかし、あんたみたいなのが何の用よ。あたし『たち』は別に何もする気はないわよ?」
「存じてます。ですが、最近はどうも気になるのが居ましてね。」
「!まさか…」
あたしは直感した。この男が気にしているのはあたしたちじゃない。明らかにせらの方だ。
「あの子に、何かする気?そう言うって事は何か勘付いてるのね。」
「えぇ、あなたと一緒に居たあの子。十分気が付いているのでしょう、『木下あきら』さん?」
「くっ…。だけど、あたしたちに何か手を出そうものなら、こっちだって黙っていないわよ?」
あきらがそう言うとメイドの女の子が出てきた。
「ほほぉ、あなたがついていましたか。ですが、警戒はしないで下さい。
 何かしようというわけではないですから。信用はされないでしょうけどね。」
「当り前よ。あんたたちとはもともと犬猿の仲なんだから。困ってる時は助けるけどね。」
「そうですね。でなきゃその子を雇うような事はしないでしょうし。
 さて、今回はここで帰らせていただきます。様子を見に来ただけですから。それではまた…」
男はそう言うと普通に立ち去って行った。

あきらたちと彼の関係は一体何なのか。またメイドの正体は何なのか。謎が深まるばかりであった…


  ―――その2へ続く

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する