「み」から始まる冒険者

元「トリックスターのプレイ記」。現在は主に自作漫画の進捗報告記。Comicoに「ひみつのなぎさ」を投稿中!

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現在、comicoにてベストチャレンジとして「ひみつのなぎさ」を投稿中
(c)未羊

2015.10.27 「ひみつのなぎさ」第5話投稿
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せらism☆第11話「仮面がはがれる時」その1

前回までのあらすじ

 せらはついに歌手としてデビューする事になった
 お披露目の記者会見の場で味わった空気は今までにはなかったものだった
 せらにとって色々と世界観が変わった一日となった

 
 
歌手デビューから一週間、歌番組に総出だったため、かなり忙しかった。
デビューの前日には、CDと着メロ配信のための歌を録り、一週間後の今日同時発売となった。
そんな事もあり、夏休みの残りはしっかりと「秘めた想い」のPRで潰れてしまったのだった。

そして、新学期…

「おーっす!秀、元気にしてたか?」
「茂木君、おはよう。もちろん元気にしてたよ。」
「宿題は全部終わってんだろうな?」
「まぁ色々あったけどちゃんと終わってるよ。」
「おー、さすがだなぁ。少し写させろよ。」
「ははは、ちゃんと自分でやろうよ、茂木君…」
こういう他愛のない話をしていると、夏休みも終わったんだなと実感できる。色々ありすぎて夏休みって感じがしなかったせいだろう。
会話を適当にしながら僕たちは教室へと向かった。その教室で恐ろしい事が起きるとは思わずに…

僕たちが教室に着くと何やら騒がしくなっていた。どうもクラスメイトが言い争いをしてるようだ。
「やっぱりSARAだろ!」
「いや、SERAは歌がうまいし可愛いぞ!」
「そんなぽっと出のどこがいいんだよ!誰がどう言おうとSARAだろ。」
どうもアイドルの話で盛り上がってるようだ。でも、自分の名前が入ってるのを聞いてどうも恥ずかしくなる。
「おい、お前ら盛り上がってるな。」
茂木君が話しかける。ふと会話が止まる。
「お、茂木じゃねぇか。なぁ、お前は誰がいいんだ?」
「いきなり誰がいいと言われてもな。ジャンルだけ絞ってもらえねぇか?」
「あぁそうだな、最近のアイドルで誰がいいよ?」
「アイドルか…。すまん、全くというほど興味ないわ。」
「おい!」
肩すかしのような茂木君の返答にこけそうになる2人。でも、それはそれで空気が和んだ気がする。
「なぁ、柊はどうなんだ?」
「え?!」
当然のように僕にも質問は振られる。しかし、とてもじゃないけど僕には答えづらい質問だった。
「最近忙しくてちょっと分からないかな。新人さんたちかな、さっき名前出てたの。」
当たり障りのない当たりで返答して、逆に質問をぶつけてみる。
「あぁ、SERAとSARAだけど、同じプロデューサの手がけた子なんだ。」
「へぇ、そんなにすごいの?」
「そりゃそうさ。SARAは人気急上昇中のティーンズ歌手で、SERAは最近デビューした新人。
 どっちも歌唱力はなかなかでな。まぁ俺はSERA派だがな。」
「なんだと?SARAだろが!」
「あぁ、2人とも落ち着いてよ。」
またなんだか険悪な空気になり始めた。アイドルの話でこんなに険悪になられても困るので、(自分の事も話題に入ってるので)ボクは止めようとした。
「柊、どいてろよ!」
「うわっ!」
かなり熱くなってきてたのか、僕は突き飛ばされてしまった。

 ――どんがらがっしゃーん!

「おい、大丈夫か。」
突き飛ばされたショックで机を少しなぎ倒してしまった。
「うん、大丈夫。…、ちょっとすりむいて血が出て…る…。…、しまった!」
「どうした、秀?」
「!?」
言い争いになってた2人も、僕の異変に気がついてこっちを見る。
「う…、うわぁぁぁぁぁっ!」
僕は大きく叫ぶ。みるみる自分が変わっていくのが分かる。周りはただそれを見ている事しかできない。

「おはよー。…茂木君、どうかしたの?」
美々が登校してきた。固まる場を見て、不思議に思って質問をしてきた。
「い、いや。それよりも…。おい、秀大丈夫か?…?」
「…ね。」
「?」
「見たわね?」
「おい、秀?」
突き飛ばされた時にボタンが机に引っ掛かったのか、前が少しはだけていた。それに気がついたボクは、近くに居た茂木君にそう聞いたのだ。
「こんの、えっちーーっ!」
次の瞬間、ボクは茂木君を平手打ちにしていた。
固まる教室の中の空気。その視線に我に返るボク。
「ねぇ、あなた秀なの?髪色とか違うし、それに今のセリフ…」
どうも違和感を感じた美々が質問してきた。
「あ…、あはは。美々、何言ってるんだよ。ボクは秀じゃないか、当たり前だろ?」
「…、性格は確かに秀みたいだけど、外見が違う。」
そのやり取りを横で見ていた言い争ってた2人が言う。
「お、おい。あんたまさか…、SERAじゃないのか?」
「(どきっ!)え…っと、何の事かなー?」
「…、秀。往生際が悪いわよ?幼なじみ舐めるのもいい加減にしたらどう?」
まだとぼけようとするボクに対して、美々がすごむように言ってくる。
「美々、怖いよ。…、言えばいいんでしょ、言えば。」

目の前であんな事があったので、ごまかしようはなかった。しぶしぶクラスメイトにすべてを話す事にしたのだった。


   ―――その2に続く

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